2011年09月10日

教育訓練給付制度の悪用手口A(親の名前で受給できる)

教育訓練給付制度は、失業中の方が再就職を目指して資格取得や
スキルアップのために教育訓練を受ける時、それを国が支援する
目的で、受講料など経費の最大20%を負担してくれるものです。

ポリテクセンターやパソコンスクールなどで資格取得を目指して
いこうと思っている人には是非勧めたい制度です。

就職活動で利用を勧める教育訓練給付制度ですが、国のお金が
交付されるところを狙って来る悪質な業者もいるから要注意です。

今回は教育訓練給付制度を悪用する手口の2回目として
「親の名前で教育訓練給付の受給ができます」
というお話をご紹介いたします。


教育訓練給付制度を悪用する手口A
(親の名前で受給できる)

派遣会社の社員で働いていたBさん。
自動車メーカーの下請け企業で働いていたのですが、東日本大震災
の影響で仕事が減り、派遣会社を解雇されました。

Bさん、資格は普通自動車の運転免許しか持っていなかったので
再就職のためにパソコンスクールに通って、マイクロソフトの
認定資格を取得したいと思っていました。

computer_school.jpg

Bさんはハローワークで求人情報を探しに出かけた時、ハローワーク
内に掲示されていた教育訓練給付制度のことが気になりましたが、
教育訓練給付制度には条件があって、派遣会社で働いていたBさん
には無理かなと諦めていました。

(教育訓練給付の受給条件)
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教育訓練給付制度は、雇用保険に3年以上加入している人が利用できる
制度ですが、一度利用した後、また利用したいと思っても3年間は利用
できません。この教育訓練給付金を一度利用した後、また利用するため
には雇用保険にさらに3年以上加入する必要があります。
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Bさんは派遣会社で働いていた期間が2年10カ月だったのです。


Bさんがパソコンスクールで習いたいのは、IT関連講座である
マイクロソフトオフィシャルトレーナー(MOT)講座です。
MOT講座は大手パソコンスクールでの相場が19万円です。

教育訓練給付制度が利用できたら、19万円の最大20%だと
3万8千円がもらえます。

Bさんの家庭ではお父さんが定年になったばかりで、これから
失業保険の手続きをして再就職先を探すところでした。
そんな状況下に、ある日電話が掛ってきました。
BさんにパソコンスクールからMOT講座の案内です。

うちのMOT講座では教育訓練給付金がもらえるという話に対して、
Bさんが受給資格の3年に足りないからダメだと言うと、相手は
「お父さんの名前で申し込めば大丈夫ですよ。」と言われました。

お父さんがMOT講座を受けたことにして、実際はBさんが受講する
ことを勧めるのでした。


親の名前で教育訓練給付金をもらうとどうなるか

業者が書類をねつ造してBさんのお父さんがMOT講座を受けたように
して申請すれば教育訓練給付金がもらえるかもしれません。

しかしよく考えてみましょう。
MOT講座が19万円で、給付金が3万8千円とした場合。
3万8千円を得したと思う反面、国から3万8千円を不正にもらった
という負い目が残ります。

さらに、ハローワークで不正受給が発覚したら、罰金が要求されます。

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本人が受講していないにもかかわらず給付金の支給を受け、または
受けようとした場合は、教育訓練給付金を受けられなくなるばかり
でなく、不正に受給した金額の返還に加えて返還額の2倍の納付を
命ぜられることがあります。 
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Bさんの例で言うと、
・不正受給:3万8千円

・返還金 :3万8千円
・罰金  :7万6千円

3万8千円もらえたと思っていたところに、不正受給が発覚すれば
11万4千円も国に払う必要が生じます。

そして、ブラックリストに名前が載ることで、教育訓練給付金は
もちろん再就職においても不利になるでしょう。
3万8千円に心を奪われると、後で大変な目に遭遇することに
なります。
甘いこと言って来る悪徳業者には、くれぐれも注意しましょう。
posted by 7fukujin at 14:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 失業保険給付金 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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