就職氷河期の時代となって何年も経ちますが、日本の経済が
成長過程から停滞、不況と悪化していった原因に、日本の
中小企業の業績悪化が関係していると言うと、ちょっと驚く
方もいるかもしれませんね。
でも、資源の乏しい日本が世界に対して優位なのは技術力です。
その技術力を底辺で支えているのが日本にある多くの中小企業
ではないかと思います。
中国に現地法人のある企業に勤めている方なら、日本では
中小企業に仕事を出しても、大企業がやっているような品質基準
(ISO9001など)に適合した商品を納品してもらえますが、中国
などでは日本と同じようには行きません。
「会社の備品である道具を、私物のような感覚で持ち帰る。」
のを見て驚いた、などと言った現地に行った人の話を聞いたことが
ありますが、日本の強みは底辺を支えている中小企業のしっかり
したところでしょう。
日本の強みである中小企業ですが、経済のグローバル化などで
今までのやり方では利益が出せず苦しんでいる企業が増えています。
雇用問題を考える時、実はこの中小企業の経営難が影響している
ようです。
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失業が多くなった原因は中小企業にあった?
雇用問題は非常に広い意味を持ちますが、その中でも最も大きな
課題となっているのが、失業です。
雇用は、単に就職して何等かの仕事に就くという意味だけには
留まりません。「雇用する」という言葉が、大体において
最初の契約、すなわち就職の際に使用するため、就職と同じような
意味で使われる事がありますが、実際には就職後にその事業所と
労働に関する契約を結んでいる期間全てが「雇用」であり、
その間に起こるすべての問題が「雇用問題」となります。
よって、失業も立派な雇用問題のひとつなのです。
現代社会において、失業は決して珍しいものではありません。
失業率の推移を見てみると、1980年代〜90年代前半は2〜3%で
推移していましたが、90年代後半に入ると4%前後まで上昇し、
2000年代には4〜6%にまで上がっています。
つまり、バブル前から2倍にまで上がっているという事です。
日本は世界的に見ると安定している方ではありますが、
それでもジワジワ上がり続けており、傾向としては
あまりよくはありません。
この失業者数というのも、雇用問題の主要なひとつとして
常に取り上げられています。
失業の背景には、当然ながら景気、経済の斜陽というものが
ありますが、その中でも特に深刻なのは、中小企業の落ち込みです。
日本における中小企業の占める割合は、実に99%以上。
つまり、会社、企業のほとんどは、この規模という事です。
失業率が高くなってきた理由は、日本の中小企業の業績悪化に
あると言えるでしょう。
したがって、失業問題を見ていく上で、中小企業が活性化しない限り、
失業者数は増え続ける事になります。雇用問題の中核を担うのは、
中小企業に関する問題と言っても過言ではないのです。
失業率が高くなった原因として中小企業のことについて触れましたが
あまり心配ばかりする必要もありません。中小企業の経営者も時代の
変化の中で、軌道修正をしていますし、新たなビジネスも生まれて
います。今までのやり方に執着しないで、柔軟な対応が出来れば、
失業率が高い時代でも自分にあった就職先が見つかると思います。